そのハミングは7
――鍵を拾った話をしよう。人は誰しもある意味盲目である。
《カクヨムコン9エンタメ総合特別賞》
《第五回みんなのつぶやき文学賞国内篇第2位》
一九九二年八月、九歳の少年トビーはフロリダでハリケーンに遭い視力を失った。両親は変わらぬ愛を持って接するが、トビーの心は不満、不公平感、苛立ちに支配され脱出できずにいた。四年後、一家はメイン州の田舎町ニネベに移り住む。トビーは、父が与えた愛犬ハミングとの散歩中に森で古い鍵を拾った。持ち主はジャン・グッドスピード。酒に煙草にギター、見透かすような会話、不味いチョコバーを食わせたこの男に不信感と苛立ちを覚えながらも、同時に安息や不思議な信頼も抱く。
トビーはジャンと訪れたエクタバナのダイナーでサラに出会う。彼女の「読み上げる」言葉の魅力によりメニューに味わいを覚えるトビー。彼女に惹きつけられると同時に、その言葉の内に隠された『怯え』に気づいたトビーは、彼女を助けたい一心でその真相を探ろうとする。
それぞれの心にうつる事実と真実を描く長編小説。
読書メーター:https://bookmeter.com/books/22286101
熱田図書館コラム : https://www.sanyodo.co.jp/news/clm_atsutald_special_edition
ナニヨモインタビュー:https://naniyomo.com/?p=15541
――
『そのハミングは7』
目次
1 一九九二年八月 フロリダ
2 匂いの塊
3 神様が与えてくれた特権
4 ジャンナ・グッドスピード
5 歌詞のないメロディ
6 エクバタナのウェイトレス
7 早くよくなれよ、相棒。彼女も待ってるぜ
8 七歩先のビッグベン
9 真実は人の数だけ
10 サットン・ロックス・ストリート187
11 包まれた杖
12 樹上のシャーマン
13 ソングバード
14 ジャンの真実
15 古びた鍵
2024/12